CrealityがFalcon T1を発表：IFA 2025で世界初の5-in-1レーザー彫刻機

ベルリン – CrealityはIFA 2025に初出展し、大きな注目を集めました。世界初の「5-in-1」レーザー彫刻機として称されるFalcon T1を発表したのです。この革新的なマシンは、クリエイターやスモールビジネスが抱える「素材ごとに複数台の機械が必要」という課題を解決することを目指しています。複数のテクノロジーを1つのコンパクトで扱いやすいシステムに統合することで、Falcon T1は現代のクリエイティブ工房の新たな中核になり得ます。

「5-in-1」レーザー彫刻機とは？

「5-in-1」とは5台の別機を意味するのではなく、革新的なモジュール化を土台にした高い適応性を備える単一システムを指します。Falcon T1の核となるのは、複数の交換式レーザーモジュールで、これによりコンパクトな筐体から前例のない幅広い素材に対応できます。

この多用途性の要はデュアルレーザー構成です。

1. High-Power Diode Laser: 木材・革・アクリル・ボール紙といった定番素材に最適。兄弟機Falcon A1 Proの系譜を引く、クリーンなカットと緻密な彫刻が可能な20Wクラスのblue laserと見られます。
2. Infrared (IR) Laser: こちらがゲームチェンジャー。IRモジュールにより、通常はdiodeレーザーでは難しい大半の金属や多様なプラスチックへ直接アプローチできます。

この2つのテクノロジーを組み合わせることで、Falcon T1は350種類以上の素材に対応可能だとCrealityは述べています。多様な素材パレットのために高価な機械を複数台そろえる必要がある、というクリエイターの大きな悩みを実質的に解消します。

Falcon T1の主な特長を詳しく見る

モジュール式レーザーに加え、Falcon T1はワークフローの簡素化と安全性の向上を意図したスマート機能を多数搭載。初心者でも扱いやすい設計です。

スマートでシンプルなワークフローの力

Crealityは好評のFalcon A1シリーズの技術を生かし、シームレスなユーザー体験を実現しています。T1は作業領域全体をライブ表示する内蔵カメラを搭載。画面に映る素材上にデザインをドラッグ＆ドロップするだけで、毎回ぴったりと配置できます。

さらに、専用のモバイルアプリからリアルタイムで監視・操作が可能。別室からでも進捗を確認でき、多忙な工房にとって大きな利便性となります。

安全性重視の設計

この強力なツールが家庭や学校、小規模スタジオで使われることを踏まえ、Crealityは安全性を最優先にしました。Falcon T1はヒュームを封じ、レーザーの偶発的な曝露を防ぐフルクローズドのエンクロージャを採用。ドアセンサーや、傾きや落下を検知すると即座に動作を停止するアクティブストップ機能も備え、安心して運用できます。

市場背景：多用途性か、生産性か

Falcon T1のIFA 2025での発表は、単独の出来事ではありません。競合のxToolも同イベントで新フラッグシップとなる強力な80W CO2 laser、xTool P3を公開。ユーザーにとって興味深い選択肢が生まれ、市場の思想の違いが浮き彫りになりました。

• Creality Falcon T1 は 多用途性 を重視。木製サインから金属名刺の彫刻まで、2台目を買わずに何でも試したいクリエイター向けの“万能機”。
• xTool P3 は 生産性 に特化。高出力と広い作業エリアで、大型品やバッチ生産を素早くこなすことを主目的に、主に木材やアクリルにフォーカスしています。

購入検討時の基準は、単なるスペックではなくワークフローへ。あらゆる素材に挑む柔軟性が必要か、それとも量産を加速する特化型のスピードが必要か――。

結論：クリエイターのデスクトップの未来

Creality Falcon T1は、単なる優れたハードウェアにとどまりません。デスクトップ・ファブリケーションの未来像を示す存在です。複数のレーザー技術を1つの使いやすく安全なエコシステムに統合することで、Crealityは高度なメイキングへの参入障壁を下げました。T1のモジュラー設計とスマート機能は、素材対応力の拡張と、より野心的なプロジェクトの実現を後押しします。クリエイティブ工房の“多用途な心臓部”として1台に集約したい人にとって、Falcon T1は新たな、そして非常に高いベンチマークを打ち立てました。