レビュー - xTool F2 Ultra
60W MOPAファイバーレーザー + 40Wダイオードレーザー、48MPデュアルカメラ、最大15,000 mm/s ― プロ向け彫刻とカラー金属マーキングのためのコンパクトで安全な生産システム。
1. xTool F2 Ultra レビュー
xToolはデスクトップレーザー分野で革新的なメーカーとして地位を確立し、製品ラインを継続的に進化させています。xTool F2 Ultra はさらに一歩先へ進み、60W MOPAファイバーレーザーと40Wダイオードレーザーを、コンパクトで密閉型のデスクトップ筐体に統合しています。
この設計は、小規模工房、ジュエリー製作、教育機関など、金属彫刻と有機材料の加工を1台で求める要求の高いユーザーを対象としています。48MPデュアルカメラ、AIアライメント、最大15,000 mm/sの彫刻速度といった機能により、F2 Ultraは高い精度と効率の提供を目指しています。
以下のレビューでは、こうした約束が日常の現場でどの程度実現されているのか ― そしてF2 Ultraがその主張どおりの性能を発揮するのかを検証します。
強み
- デュアルレーザー構成:60W MOPA + 40W ダイオードで金属&有機材料の加工に対応
- ガルボ方式による最大約15,000 mm/sの彫刻速度
- AIアライメント対応の48MPデュアルカメラシステム
トレードオフ
- 本体価格が高く、アクセサリーも高価
- 作業エリアが限定的(約220×220 mm)
- 厚板金属の切断性能には制約
おすすめ
- 小規模工房、ジュエリー製作、産業用の精密作業
- 金属彫刻に注力する教育機関・メイカースペース
- コンパクトかつ高性能なオールラウンダーを求めるユーザー
2. xTool F2 Ultra の中身は?
xTool F2 Ultra には、シングルレーザー(60W MOPAファイバーのみ)とデュアルレーザー(60W MOPA + 40W ダイオード)の2種類があります。シングル版は金属彫刻とカラー・レーザーマーキングに特化。デュアル版では、ガルボレーザーの一般的な制約を解消し、1台で木材やアクリルといった有機材料の加工にも対応します(ただしアクリルは通常、CO2-Laser のほうが適しています)。
内部では MOPAファイバーレーザー が可変パルス幅と周波数で動作し、金属への高コントラスト彫刻、深彫り、カラー効果を可能にします。加えてダイオードレーザーが非金属材料をカバーし、適用範囲を大きく広げます。
実運用ベースでは以下の意味
• シングル版:高品質な金属彫刻、カラーアクセント、精密ディテールに対応 ― ただしワークフローは金属に限定。
• デュアル版:柔軟性を重視 ― 金属から開始し、2台目を買わずに木材・プラスチック・レザーへシームレスに切り替え可能。
つまりF2 Ultraは、選ぶバージョンに応じて、特化と多用途性の双方を提供します。
2.1 xTool F2 Ultra レーザー仕様
- 作業エリア
- 220 × 220 × 150 mm
- 最大速度
- 15000 mm/s
- 接続
- WIFIUSB
- エアアシスト
- いいえ
- カメラ
- はい
- エンクロージャー
- はい
- オートフォーカス
- はい
- 対応OS
- WindowsmacOSLinux
- ファイル形式
.ai
.svg
.dxf
.pdf
.hpgl
.plt
.rd
.png
.jpeg
.bmp
.tiff
.tga
.gif
.jpg
- 重量
- 14.7 kg
- 保証
- 12 ヶ月
- 発売
- 2025-07-09
- レーザークラス
- Class 1
3. xTool F2 Ultra の特長 ― 誰に向いている?
xTool F2 Ultra は、完全密閉筐体(家庭で使えるレーザー)、安全機能(火災検知、非常停止)、デュアルカメラ(48MP×2によるAIアライメント)といった技術面で際立ちます。デュアル版では、60W MOPAファイバーと40Wダイオードを組み合わせることで、高精度な金属彫刻と有機材料の加工の両立を実現。オートフォーカス、モジュール式拡張(例:コンベヤ、回転軸)に対応し、デスクトップ用途を想定した堅牢かつコンパクトな造りです。xTool-software が使い勝手をさらに高めます。予算に制約がなければ非常に魅力的な一台です。
3.1 対象ユーザー
一般ユーザー/ホビイストは、密閉設計により比較的安全で粉塵も少ないため、自宅工房や小規模スタジオに最適。2台を用意せず高品質な金属彫刻にアクセスできます。小規模事業者/メーカーは、その速度とモジュールを活かし、金属製品(ロゴ、銘板、パーソナライズ品)を小ロットで主に製作しつつ、木材やプラスチック案件も必要に応じて対応可能。教育機関やメイカースペースでは、安全性、カメラによる視覚的な操作ガイド、さまざまな材料・手法を1台で示せる点が評価されます。
3.2 できること ― 限界はどこ?
F2 Ultraは、カラー金属マーキング、金属の深彫り、木材・アクリルの彫刻、薄物材料の切断といった高度な作業をこなします。ダイオード側により、適切なフォーカスと複数パスを前提に、透明材料や厚めの木板にも対応可能です。
ただし限界もあります:厚板金属の切断は制約が大きく、基本的には薄板のみ。より厚い金属を切る場合は、xTool の Metal-Fab を検討すべきです。ガラスや透明アクリルは、コーティングやスプレーなどの前処理が必要(無処理ではレーザーの作用が弱い)。こうした用途や大判加工には、一般的に CO2-Laser が適しています。
デュアル版のF2 Ultraは、金属加工と多素材対応を1台にまとめた柔軟なツールですが、その限界を理解し、適切に使い分けることが前提です。
4. アクセサリー & 拡張
他のレーザー同様、xTool F2 Ultraにもアクセサリーがあります。本当に必要なものと、コストがかさむだけのものを見極める必要があります。一般に、各コンポーネントはバンドル購入でやや割安になりますが、不要なものを無闇に買うべきではありません。
追記:xTool F2 Ultra や xTool F1 Ultra のようなガルボレーザーにはAir Assistがありません。よりきれいな切断を求める場合は、自作で補助エアを用意するか、出力・パス回数・速度の設定でコントロールします。
4.1 xTool F2 Ultra 用コンベヤ
コンベヤは作業エリアを 約220 × 500 mm まで拡張し、長尺ワークや量産の効率加工を可能にします。量産現場や同一部品が多い案件で特に有効です。最大10 kg の荷重に対応し、F2 Ultraに直接接続することで、カメラ認識とアライメントも引き続き機能します。
- Auto Streamline Conveyor
4.2 RA2 Pro 回転軸
RA2 Pro を使えば、カップ、ボトル、リングなど円筒形オブジェクトを360°彫刻できます。全面彫刻を本当に行う場合のみ必要で、通常は xTool-software が曲面補正を行えます。
- RA2 Pro
- SafetyPro IF2 Inline Duct Fan
5. 長所 & 短所
長所と短所
- 長所
- 強力な60W MOPAレーザーシステム
- 非常に高速なガルボ彫刻(15,000 mm/s)
- 48MPデュアルカメラ付きのクラス1密閉安全設計
- バッチ処理に優れたソフトウェアワークフロー(XCS)
- 金属で鮮やかなカラーマーキングと3Dエンボスが可能
- 短所
- 価格が高い(特にアクセサリー追加時)
- LightBurn互換性が不確実/信頼性に欠ける
- ガルボ方式により厚物のカットで断面が斜めになりやすい
- 内蔵Air Assistがないためカット品質に限界
6. xTool F2 Ultra の代替機
xTool F2 Ultra は非常に高価な Fiber Laser です。同等出力でもっと安価な機種もありますが、ソフトウェアの完成度は劣るのが一般的です。類似機の一覧は fiber lasers を参照してください。
xTool F2 Ultraと他機種を詳細比較したい場合は、AIサポート付きの比較ページをご覧ください。
- 作業エリア
- 220 × 220 mm
- 最安値
- ¥784,843 xTool Shop
- レーザーモジュール
- Fiber(Professional)1064 nm · 60 W
- 接続
- WIFIUSB
- オートフォーカス
- カメラ
- エアアシスト
- エンクロージャー
- 発売
- 2025

- 作業エリア
- 220 × 220 mm
- 最安値
- ¥565,043 xTool Shop
- レーザーモジュール
- Fiber(Hobby)1064 nm · 20 WDiode(Desktop)455 nm · 20 W
- 接続
- USBWIFI
- オートフォーカス
- カメラ
- エアアシスト
- エンクロージャー
- 発売
- 2024
一般的に、F2 Ultraは要求の高い金属彫刻や多機能プロジェクトに最適です。単純な木材やアクリル加工には、純粋な Diode Laser や CO2-Laser のほうが効率的な場合があります。価格重視なら、xTool-S1 のようなモデルはコストと機能のバランスに優れています。
7. 結論 ― xTool F2 Ultra は買いか?
xTool F2 Ultraは間違いなく技術的に印象的なデバイスです。60W MOPAファイバーと40Wダイオードの組み合わせにより、本来2台必要な機能を1台に集約しています。デュアル版がシングル版より約1,200ドル高価であるのは、同クラスのダイオードモジュール単体を見つけにくい点からも、一定の妥当性があります。ただし、この投資が本当に報われるのは、金属加工と(木材・アクリル等の)材料加工を1台で定期的に組み合わせたい場合です。
7.1 xTool F2 Ultra の技術パラメータ
最大15,000 mm/sの高速彫刻、48MPデュアルカメラによる高精度位置決め、安全機能付き密閉筐体と、技術的には優れています。テストでは精度と仕上がり品質が高く評価されています。一方で、作業エリアが220×220 mmと小さい点は制約で、大型ワークにはオプションのコンベヤが必要。1 mm超の厚板金属の切断は困難で、多数のパスが要るという報告もあります。
7.2 xTool F2 Ultra の使いやすさ
運用面では、直感的なソフトウェア(XCS)とカメラ自動アライメントが高評価で、多くの手順を簡素化します。他方、プロユーザーからは材料ライブラリの穴や、LightBurn+ガルボプラグインの適切なセットアップに手間がかかるといった指摘もあります。もっとも、レーザー制御の経験があれば乗り越えられる範囲です。
7.3 xTool F2 Ultra のカスタマーサービス
サポートや保証に関するユーザー報告は賛否が分かれます。対応が速く有用とする声がある一方、アップグレードやスペアパーツで遅延や不明瞭な回答を指摘する声もあります。特にコミュニティでは、米国価格に比べて欧州価格が高い点が批判されています。
コミュニティの声を総合すると、金属彫刻の大きなポテンシャルと多用途性は高評価。一方で、高い初期コスト、多数の追加モジュールの必要性、完璧なアライメントなしでの量産時の精度ブレなどへの注意喚起もあります。
総合評価:xTool F2 Ultraは非常に優れたレーザーですが、完璧ではありません。金属のカラー・マーキングと木材/アクリル作業を定期的に組み合わせるなら有力な解です。大判切断が主目的、または厳格な予算重視なら、特化型ダイオードレーザーや、xTool F1 Ultra のような純MOPAファイバー機も検討に値します。